トヨタ

「トヨタの顔」仁義なき引き抜き
 「世界のトヨタ」が米国流の仁義なき引き抜きに衝撃を受けている。6月に外国人初の取締役に就いたトヨタ自動車のジム・プレス専務(60)=北米トヨタ社長が14日付で退任し、米クライスラーの事実上のナンバー2である副会長兼社長として電撃移籍するためだ。ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて米市場で首位を目指すトヨタの戦略にも影響しそうだ。
 クライスラーのロバート・ナルデリ会長兼最高経営責任者(CEO=Chief Executive Officer)の喜びようは大変なもので、生産部門出身のトム・ラソーダ副会長兼社長(留任)を「世界的な『供給』の指導者」、プレス氏を「世界的な『需要』の指導者」に例えてプレス氏獲得を自賛。全米自動車労働組合のゲテルフィンガー委員長も「素晴らしい決断」と評価した。
 プレス氏は1970年に米国トヨタ自動車販売に入社。米国では「トヨタの顔」とされ、販売店網の強化や高級車ブランド「レクサス」の立て直しに貢献したほか、今年は大型ピックアップ「タンドラ」の投入でビッグスリーの牙城(がじよう)を崩す作戦にも成功した北米事業の立役者だ。
 トヨタは貿易摩擦を避けようと、生産から販売まで米国人に委ねる「現地化」戦略を展開。保護主義がくすぶる米議会のロビー活動も主導したプレス氏の移籍は痛手で、渡辺捷昭(かつあき)社長も「誠に残念だ」としている。
 クライスラーは独ダイムラーから米投資ファンドの傘下に入ったばかりで、会社再建のプロとして知られるナルデリ氏を迎えるなど外部からの人材登用を積極化している。8月には米国トヨタ販売のデボラ・メイヤー副社長も市場調査などを担当する副社長として引き抜いた。米業界ではトヨタの経営や販売ノウハウへの興味が高く、業界内では「次に誰が引き抜かれるのだろうか」との声も漏れる。



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